偏愛ドリップガール

気持ち悪くなる程度に愛してる

「愛した」

私は、少しだけ虚しいものが好きだ。



それは物語も同じ。


すべて上手くいく、

楽しく、

幸せな物語には心を惹かれない。



何か上手くいかないもの、ことがあって


受け入れ難いものがあって


当初描いていたものとは全く違うエンディング、


それでも幸福になる話が好きだ。



「愛している」より「愛した」が好きだ


少しの虚しさと、過去へ馳せる想い、


そして諦めの入り交じる響きが


愛の言葉として最も美しいと思う。



よく、恋愛をメインテーマにした物語の煽り文句で見る


「嫌いだった」という響きも好きだけれど


「嫌いになった」の方が何故か、美しさを感じる



不思議だね。



自分が描いていた理想の相手、


恋人の格好いい姿、


奥さんの愛らしい笑顔、


それらが崩れる瞬間


でも、それを「嫌いになった」と定義することは出来ない。



故に、「嫌いになった」は魅力を感じる。


危険な魅力。



甘い言葉も、耽美な誘惑も、

綺麗な嘘も、豪奢な贈り物も、

時として「嫌い」となる。



だからこそ「愛した」は美しい。

過去形とはこんなにも寂しく、愛おしい。




もう、手に入れられない儚さや


欲しても得られない、ないものねだりな気分がそう感じさせるのかもしれないね。


愛した。


私は彼を愛した。



素敵な響き。